2014年01月12日

美味しいラガーを仕込む(後編)



さて、ここから実際の仕込みかたです。



【ラガー仕込みの道具】

通常のエール仕込みの道具と全く同じです。

ただ、
ラガーの発酵期間はエールの2倍ほどかかります。
その間、新たなビールの仕込みができません。
ポリ袋で発酵させる方法もお勧めです。
tmp_polybag.jpeg

http://advanced-brewing.com/0_equipment.html#poli_bag_ll



【ラガーのレシピ】
普段仕込んでいる普通の(エール系)のレシピで構いません。
イーストだけをラガーに替えてみます。

そのうほうがラガーとエールの対比がしやすいと思います。


ビールキットは、
淡色系でしたらブラックロックの「ピルスナーブロンド」や
「ドライラガー」、黒系でしたら「マイナーズスタウト」。
お好みでも構いません。


これら標準のキットに添付されているイーストは
エールイーストですのでこれをラガーに替えます。


ドライイーストでしたら
http://advanced-brewing.com/0_yeast.html#dry_yeast

Fermentisのs-23やw-34/70
S-23はラガーには珍しいフルーティなフレイバー、
w-34/70は本来のラガーらしいクリーンなフレイバーです。

本来のラガーらしさを味わうためには
w-34/70をお勧めします。

tmp_fermentis_saflager_w3470.jpeg



また、仕込みに慣れていらっしゃるかたは
リキッドイーストを使ってみてください。
様々な性質のラガーイーストを選ぶ事ができます。


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http://advanced-brewing.com/0_liquid_yeast.html



イーストの量はエールの2倍かそれ以上、


ドライイーストの場合は
10L仕込みで1パッケージ以上、
17〜19L仕込みでしたらが2パッケージ以上をお勧めします。


リキッドイーストの場合は
できるだけスターターを作って、活性の良いイーストを
多めに投入してください。




【ラガーの仕込み】
通常どおりにウォートをつくります。




ウォートの仕込みが終わったら発酵容器に移して、
ウォート温度を13〜15℃くらいにして、イーストを投入します。
できるだけ早く温度を下げた方が、雑菌汚染リスクの減少や
不要成分の凝固沈殿によってウォートがクリアになる等の
効果があります。


発酵開始までは、
夜間13℃以下に下がるようでしたら保温して下さい。



保温する方法はこちらをご参照ください。
電気あんかを使うととても簡単です。
image001.jpg

http://advancedbrewing.sblo.jp/archives/20120112-1.html




発酵が始まるまでは、
できれば13〜15℃をキープしてください。



発酵が始まるまで、エールよりも2倍ほどかかります。
泡もエールに比べると薄く、頼りない感じがします。


発酵が順調に始まったら温度を11℃くらいに下げます。
何度まで下げるかは、イースト個々の性質によりますので、
できればスペックを確認してください。


発酵がほぼ終わったら、
温度を15〜20℃程度に上げて、2日程放置します。

これを「ダイアセチルレスト」と呼びますが、
ダイアセチルレストの目的は2つです。


1)未発酵糖分の発酵促進

2)オフフレイバーとされるダイアセチル(バター
スコッチのようなフレイバーです)の減少




ダイアセチルレストが終わったら
こんどは温度をできるだけ(10〜0℃くらいまで)下げ
ます。温度が低いほど、ビール中を浮遊している
イーストや不要成分が早く沈殿します。


1〜3日程おいて、
ビール全体がクリアになったら、澱引き=ラッキング=
沈殿した澱を除けて他の容器に移し替える=します。


この状態で一週間〜一ヶ月程おいて、熟成させます。
いわゆる、ラガーリングです。


ラガーリングが終わったら
ボトリング容器にラッキング、プライミングして
瓶詰めします。


低温でラガーリングしたり、期間を長くとったりした場合は、
瓶に入るイーストの活性が低く、数も少ないため
瓶内発酵に時間がかかります。

このような場合は、ドライイーストの粒を数粒、瓶詰めの時に
瓶に直接加えるとよいです。



あとは炭酸が入るまで10〜15℃くらいで、じっくりと寝かせます。





以上です
春先には驚くほどクリアで美味しいラガーができていると思います。


ぜひお試しください。
posted by advancedbrewing at 12:14| Comment(0) | 日記

2014年01月01日

美味しいラガーを仕込む(前編)

新年あけましておめでとうございます。

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。




年が明けて、随分冷え込んで参りました、。

せっかくのこの時期、
ラガーを仕込んでみてはいかがでしょうか?


ラガーはご存知のとおり、低温で発酵〜熟成させますので、
冷蔵庫をサーモスタットで温度コントロールするような
温調設備をお持ちでない限り、この時期しか美味しく仕込む
事ができません。


エールの、華やかなフレイバーに対し、クリアでクリーン
なラガー。

ピルスナーなど淡色系のラガーはもちろんですが、
黒系のビールをラガーイーストで仕込むと驚くほどクリアで
スムース、

手作りのエールをいつも飲んでいると、
ラガーの、エールとは違った美味しさに少し感動したりします。





ラガーについて、少しおさらいです。

ご存知のとおり
常温で発酵させるエールに対し、
低温で発酵させるラガーは、クリアで、クリーンな特徴を持ちます。



その理由は、


イーストは(エールもラガーも)、発酵中に様々な香味成分を生成
しますが、温度が低いほど、雑な(よく言えば"華やかな”)香味
成分の生成が少なく、クリア/クリーンなフレイバーになります。


クリアでクリーンなフレイバーのビールを得るためには、
発酵温度をできるだけ下げたいところです。


ところが、
エールイーストは低温では活動(発酵)することができません。

それで、耐寒性をもつ(=低温でも発酵可能な)ラガーイーストを
使い、雑な香味成分の生成を抑えます。


これがラガーの大きな特徴です。


さらに、
低温熟成によって、このラガーの特徴をさらに際だたせます。



発酵終了直後のビールは、
イーストや不要タンパクその他の雑な物質が液中に浮遊したり
溶け込んでいますのでビールが見た目、濁っています。

見た目が濁っているビールは、フレイバーも濁っています。
これらの雑な物質はやがて沈殿してクリアなビールに
なりますが、温度を下げることでこの沈殿が加速されます。



発酵が終わったら
できるだけ低い温度に保つことで、
不要物質の沈殿が加速されてビールがどんどんクリアで
クリーンになっていきます。これがラガーリングです。


このように、
低温発酵と低温での熟成(ラガーリング)によって、
ラガーはラガーらしい、クリアでクリーンな特徴を
もたビールになります。



前編はここまで、
実際のラガーの仕込み方は後編で。


posted by advancedbrewing at 20:40| Comment(0) | 日記
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